企業の存続について

弊社は6月3日で15周年を迎えます。

今回は「企業の存続」について書こうと思います。

ネットで検索すると、ベンチャー企業の生存率は3年で約65%、10年で約6.3%、20年で0.39%、30年だと0.025%というデータがあります。

一方、中小企業白書の企業存続率(2011年版)によると、1年後は約97%、5年後約82%、10年後約70%、22年後で約50%と高い生存率ですが、

こちらは帝国データバンクの統計を基に作成されているため、比較的企業規模が大きく、或いは信用性が高い企業が調査対象でありますので高い率になっているようです。

思えば、起業した時、周りから無謀だと言われました。

というのも、多くの経験機会を与えてくれた前職の会社への仁義を切るために、市場も熟成していない、それまで関わったことの無いLED照明で勝負したからです。

「LED照明は時期尚早だ」というご意見を多く頂きました。

たしかに2008年の時点では時期尚早でした。

アンゾフのマトリックス理論の「既存市場+新規製品」だけが頭の中にありました。

分かりやすく言うと、人間にとって「灯り」は必要、それまでの照明機器よりも遙かに高い発光効率のテクノロジーが出たので、古くから存在する照明市場に新しい技術であるLED照明をもって参入したらいけるかも?という理由だけでした。

サラリーマン時代(貿易商社とファブレスメーカー)で培った経験だけが頼り、当時は36歳で問い合わせがあればすぐに飛びつきました。

今じゃ考えられないけど、「LEDの寿命って永久なんやろ?」、「何があっても絶対に切れない筈なのに何で切れたんや?」とあらゆる競合他社の過剰な宣伝合戦でお客さまからクレームを多数頂いた。

リーマンショックも重なり、2年間くらい鳴かず飛ばず、資金だけがどんどん底をついて行きました。

「もうあかんかも」と思ったら、タイミング良くオーダーを頂くことができ、「これで○ヶ月分の資金繰りができた。」と、その繰り返しでした。

その後LED照明技術が少しずつ成熟し、同時にLEDに対する正しい認識が広がり、市場が成長段階に入ると大手企業が続々と参入、

市場価格がどんどん下がり、いくらやっても粗利が取れない状況になり、以前勤めていた会社の創業社長が常に口にしていた「ランチェスター戦略」が頭をよぎった。

最初は珍しがられたLED照明もすぐに一般化することは起業当初から危機感を持って臨んでいましたが想像以上にそのスピードは早かった。

LED照明を「弱者の戦略」に切り替えつつ、さまざまなご縁も頂き、デジタルサイネージ市場に参入。

そして6年後に突然のコロナ禍。

そして現在。

振り返れば、常にいろんな方から教わり、チャンスを頂き、支えられてきた15年です。

この15年間を経て、企業を存続させる為に5つの条件があるように感じます。

1.不測の事態に備え、損益分岐点をすぐに下げられるようなフレキシブルかつスリムな組織体制を取ること。
2.高粗利率案件商売と回転する低粗利率商売の2本持つこと、出来れば回転商売だけで損益分岐点に達するのが望ましい。
3.キャッシュフロー経営(調達・粗利・売上金回収のバランス取り)に徹底すること。
4.お客様から要望があればとにかく動き、でも執着せずに、期間を決めてダメなら手放し、柔軟に事業形態を変化させられるような自然体でいること。
5.人事を尽くして天命を待つ姿勢でもって、自分軸を保ち心身ともに安定させること。

「成長戦略の前に、まずは生存戦略が大事」と、とあるコンサルタントの方が言っていました。

土台の1階の部分をまずはしっかりさせてからじゃないと2階以上をを作ってはいけない。
当たり前のことだけど、会社は赤字で潰れるのではなく、資金が底を付いたときに終わる。

本当にそうだと思います。

自己資本保有率を下げてでも多くのVCから集めた資金で規模を大きくする経営者も居れば、小規模でも100%自己資本で着実に利益を叩きだす経営者も居ます。
どちらが自分に合っているのか経営者それぞれですが、個人的に「最終的にどれだけ会社にお金が残せるか?」がポイントだと思います。

・社員150人で100億円の売上、純利益7000万円
・パート社員含めて8人で5億円の売上、純利益5000万円

の会社があるとします。

前者は社会的責任がより強くなり、媒体露出も増えるでしょう。
”ハコ”の規模を大きく、従業員数の多い方が達成感を得る経営者も居れば、そうでは無い経営者も居ると思います。

私は50代に入り、上海で長いロックダウン経験を経て、初めて”達観”したような気がします。

いずれにしましても16年目を迎えた弊社ですが、これまでに関わったすべての方、この場を借りて御礼申し上げます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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