中国OEM工場との機密保持契約について(商品の転売リスク)
中国工場へのOEM委託をする際、懸念されるのは、
”自社の企画商品の競合他社への情報漏洩”、または”工場による許可無き自社商品の転売”では無いだろうか。
これらを抑制させるには”機密保持契約”や”取引基本契約書”上で”禁止事項&賠償責任を負う”と明記することは言うまでもない。
今回は”商品の転売”について。
”タオバオ”や”天猫”といったサイト上で、工場から転売している疑いがある状況を時折見かける。
私が思うに、中国の販売サイト上で日本の商品の販売ルートはいくつかに分けられる。
1.日本企業が自ら越境ビジネスを構築して販売。
2.日本企業の現地法人が自ら在庫を抱えて販売。(中国でOEM生産したモノを自社現地法人が仕入れして販売)
3.個人が日本の店舗で購入したモノを中国に送りネット上で転売。
4.OEM工場による生産余剰&不良在庫を日本企業に許可なくネット上で転売。
とくに、パワーブランドを持つ日本企業にとって、売上への影響のみならず、これまでに築き上げたブランドを他社に利用されることは避けたいところ。
3については、日本国内で一旦売上を上げているので、現地法人や越境ビジネスを構築している企業にとっては統制が取れないという思いはあるが、4は企業にとって確実に利益の損失となる。
今回は、主にB2C市場向け商品をメインに、私見だが以下の方法である程度抑制が出来ると考える。
まず、中国B2C市場で販売するにはひとつ重要なルールが存在し、商品パッケージのうしろに”中国語で明記した銘板シール”を貼ることである。
銘板シールには以下の情報を記載する必要がある。
商品名、型番、成分、社名、住所、電話番号、製造年月日、原産地など
仮に、これらの記載情報を商品パッケージの背面に貼付けていないと、購入した消費者は中国の消費者センターに訴えることが出来る。
訴えられれば、購入した額の数倍の賠償金を消費者に支払わなければならなくなる。
余談だが、ひとつ重要なことがある。
仮に”原産地”が MADE IN TAIWAN”の場合、シール上には”産地:中国台湾地区”と記載しないとこれも引っかかる。
“MADE IN HONG KONG”だと、”中国香港地区”となる。
話を戻すと、この銘板シールを使ってICシールなどでロットを管理し、ICシールが無いと”正規品”として看做さず、商品保証をしないと明言することだ。
消費者にとって、”正規品”では無いから、もしかしたら”模倣品”なのでは?と思わせることにも繋がり、これである程度は抑制されるかも知れないが、それでも完全に無くならないのが実情である。
そのような不正が発覚した際、OEM工場を変更し、損害賠償請求を行うことは言うまでもない。