中国のIoT市場(AI監視カメラ)
中国では「天網」と言われるAI監視カメラを中心とするネットワークが確立されている。
2019年時点で既に約2億台のAI監視カメラが設置され、1人あたりに占める数は1.4台以上という計算となる。
現在はマスク装着であっても顔認証が出来るレベルとなり、車のナンバープレートの照合も瞬時に出来、駐車場の出入り口はほぼ無人化で運営。
「天網」の処理速度は1秒で中国全人民、2秒で全世界の人数を照合可能な毎秒30億回とされ、音声や指紋、虹彩、DNAなどの生体認証のデータベースを構築していると言われている。
また、ハードウェア面でも技術が進んでおり、2017年時点で警察向けの眼鏡型やヘルメット型のヘッドマウントディスプレイの開発が決定し、2018年には実用化されている。
このような国による情報管理インフラに対し賛否両論はあるが、今年6月、中国河北省唐山市の焼き肉店で起こった男性らが女性4人に暴行を加え大怪我をさせた事件でも、
容疑者らは車で逃走したが、数百キロ離れた山林中で逮捕されたのはそれほど時間は掛からなかった。
かつては中国では幼児誘拐事件やひったくり事件が多かったが、監視インフラにより安心感が生まれる一方、
違う意味で政府によって個人行動が掌握される事に対する違和感があるのも事実である。
以前書いた記事で、これら電子決済システムやゼロコロナ政策で構築された行動アプリ、
WECHATやWEIBOといったSNSは政府によって管理されているため、違う見方をすれば全人民に対する抑制が強く働く政治体制を敷いたという実感もある。