中国の不動産バブル(崩壊?)について
中国のGDPに占める不動産業の割合は関連産業を含めると約29%あると言われている。
急速な経済成長、都市部への人口集中、貧富の差の拡大によって富裕層による不動産投機が過熱し、
上海や北京などの主要都市部の住宅価格は、一般庶民が簡単に手が出せないほどに高騰している現状。
そんな中、「共同富裕」というスローガンの元に、さまざまな政策が施されている。
代表的なのは、「3つのレッドライン(三道紅線)」
これは中国中央銀行と銀保監会などの機構が、不動産関連企業に対して設定された指標。
つまり、資産負債率70%超えないことなどが盛り込んだものである。
引用元:北夢ニュース
https://www.cadforex.com/lic/90939.html
さらに、金融機関に対しても不動産融資規制(不動産関連融資の割合に上限を持たせる政策)を設け、
過剰に高騰した不動産価格を抑えたい意思が強い。
日本ではyoutubeなどで「中国不動産バブルの崩壊」イコール「中国経済の終焉」という論調がよく見られる。
上海に長く住む私の見方だが、そもそも国家体制が違うので、西側資本主義諸国と全く同じ道を辿るとは限らない。
なので、「崩壊」というより「抑制」と捉える方が正しいのかもしれない。
でも景気が悪くなっているのは実感としては、ある。
最近、中国の経済学者や大学教授などが次のように語る動画を中国国内のwechatやウェイボーなどで多く見かけるようになった。
*今の中国国内の不動産価格は異常だ。
*不動産は”住む為のもの”であり、”投資する為のもの”では無い。
*中国人の平均給料に対する不動産価格は異常。
*中国の若者の結婚率や出生率の低下原因は、行き過ぎた不動産価格の高騰にある。
*中国がアメリカや日本のように”本当の意味の技術強国”になるには、不動産価格を今よりかなり下げる必要がある。
情報統制がされている中国で、このような動画がバンバン出るということは、政府の意図と合致していると考える。
というより、官製宣伝動画かもしれない。
明白なのは、中国はGDPを下げてでも、意図的に不動産価格を今より下落させようとしていると考えるのが妥当だ。
意図的なので、それが「中国経済の終焉」を目指したものでは無いと考えるのも妥当だと思う。
長期的に見て、ゆくゆく衰退していくよりも、粗治療で一気に転換させようとしているかもしれない。
そこにソフトランディングの思いは無いかもしれない。ゼロコロナ政策の時も同じだった。
ただ、その粗治療がさまざま副作用が出ることは予想される。
*住宅購入者による住宅ローン返済不能や拒否が発生し、金融機関への打撃。
*不動産価格の急な下落により、不動産企業に対する不良債権の増加など。
*金融機関の支援のための公的資金注入による地方政府の財政悪化。
*土地使用権売却収入や不動産取得税の伸び悩みによる地方政府の財政悪化。
一方で、中央政府からもテコ入れを行っている。中国人民銀行による住宅ローン金利の引き下げを行うなど、
不動産価格の加熱抑制と低迷する不動産取引の改善に対する難しい舵取りを迫られている状況だ。