増値税還付コロナ特別政策の不履行について
以前のブログ「中国発票(領収書)について」でも書いたが、
中国の増値税は日本の消費税と同様、最終消費者が負担する付加価値税であり、売上にかかる税から仕入に支払った税を控除する方法である。
もう少し詳しく述べると、仕入れに支払った増値税を「進項税」、売上に掛かる増値税を「銷項税」という。
今年3月中旬ごろから5月末まで上海全域でロックダウンが行われ、多くの企業は大打撃を受けた。
そのロックダウン期間中に上海市政府から突如「進項税」の還付を受け付けるという発表があった。
つまり、通常は売上があった時点で「銷項税」が掛かり、仕入れの段階で既に支払った「進項税」を差し引いた金額で増値税の納税を行うのだが、
上海ロックダウンにより各企業の営業活動が余儀なく停止され、上海市政府が特別に売上が無くても既に支払った「進項税」を企業に還付するというコロナ特別政策の発表である。
当社は輸出事業を主としているので、輸出する度に輸出還付は受けられるのだが、創業してから15年間、輸出業務とは関係の無い「進項税発票」がかなり溜まっていたので、
これは願っても無いチャンス、当然申請を行った。
ところがいざ申請し数ヶ月が経っても全く動向が見えない。
財務コンサルによると、上海市は税金が底を突いているというのだ。
税務局からの回答は「全額還付を主張するなら過去の税務内容をしらみつぶしに調べた上で検討する。それでも全額が還付されることは無い、
一部還付されたとしても持っている進項税枠を全て失う、それでも良いのなら検討するが」との内容だった。
これでは割に合わない。
以前書いたブログ「中国における工場経営のリスク(国からの地上げ)」でも述べた内容に繋がる。
今なお中国全土で行われている局地的なロックダウン、中国国内でのビジネスだけでなく、複合的なビジネススタイルをもって
米ドル、日本円、人民元と分散させておくことが肝要と言える。